第3学期の始業式後の教務主任講話にて以下の内容を話しました。
本年度最後の講話ということで,今まであまり話したことのないのですが,私自身の高校時代についてもちょっと触れながら,年度末に向けた話をみなさんにしたいと思います。
私は東毛地域の男子校の出身ですが,入学と同時に陸上部に入部しました。
後にインターハイに出場する同級生もいましたが,私自身は大したことありませんでした。
連休や長期休業には,近くの男女共学校と練習することがたびたびあったのですが,私はその男女共学校の一つ上の先輩との交流からいろいろなことを学びました。
先輩ですから私よりタイムが良いのは当たり前ですが,一緒に走るとたまには勝つこともできたので,私にとっては身近な目標でした。
その先輩とのエピソードを一つ紹介します。
夏休みの合宿も終わりが近づいてきてきたある日。午後の練習を始める時に,疲れが蓄積してきたこともあり,つい,
「あ〜あ,練習か。だるいですよね」
と,一言つぶやいてしまいました。その時先輩が,
「ふざけんじゃね〜よ。これからみんな一生懸命に頑張ろうという時に,そんなこと言うんじゃねえよ」
と,大きな声で怒鳴りました。
私はすぐに,「すいません」と謝るしかありませんでした。
その後,先輩は怒ることもなく,黙々と練習に励んでいました。
たったこれだけのことですが,先輩の背中を追いながら,「俺も頑張らなければ」と思いました。
陸上に限りませんが,運動部の練習はとても厳しいものです。
しかし,厳しい練習を積み重ねたからこそ,強くなれるのです。
今日は話をしませんが,みなさんにいつも話している3つのポイントのなかに,「学校を休まない」があります。
「高校生は学校へ来るのが仕事なんだから」なんていう時もあります。
みなさんにとって,「仕事」とは何でしょう?
人と仕事の関係を考える時に,英語で表現すると分かりやすいかも知れません。
仕事のことを英語でなんと言いますか?
そう,“job”です。みなさんの中にはアルバイトをしている人も多いですが,アルバイトは英語で,“part time job”と言います。そう,短い時間の“job”という訳です。
“job”とは,報酬のためにはたらくことをいいます。
みなさんのアルバイトは,まさしくこれかも知れません。
報酬のためと考えれば,なるべく働かないで給料がいっぱいもらえるように効率的な仕事の仕方を身に付けるかも知れません。
アルバイトをやっているみなさんは,
自分の高校時代の貴重な時間を現金にかえているだけです。
では,仕事はお金を稼ぐためだけにするのでしょうか?
その仕事を通して,“自分が向上している“と実感できる仕事もあります。
こういう仕事を“career”と言います。
また,仕事に社会的な意義を見いだし,この仕事は自分に与えられたギフトのように感じる場合もあります。
日本語では「天職」といいますが,こういう仕事を“calling”と言います。
"job" が "career" になり "calling" になる。
このように同じ仕事をしていても,仕事の意味が自らの成長に沿って修正されていくことがあります。これを,ジョブ・クラフティング(job crafting)と言います。
就職する人,進学する人,さまざまですが,みなさんはいずれ働くことになります。
みなさんが自ら選んだ仕事がどんな仕事かは分かりません。
しかし,後になって,「この仕事を選んだことは正しかった」と思えるように,このジョブ・クラフティングを心がけなければなりません。
冒頭の高校時代の先輩は,黙々と練習に励む背中で,「今,頑張る」ことがとても重要だということを教えてくれました。
みなさんは今,何を頑張りますか?
がんばれるものを見つけてください。トラックバックURLhttp://www.nogyokyoiku.net/htdocs/index.php?action=journal_action_main_trackback&post_id=274