2014/11/14 | 和田孫博氏(灘中学校・高等学校校長)の講演 | | by:kawashima |
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本日,私立灘中学校・高等学校校長の和田孫博氏の講演を聞く機会がありました。
本講演会は,平成26年度(公社)群馬県不動産鑑定士協会が主催し,一般公開講演会として,エテルナ高崎で14:30〜16:30開催されました。
中教審初等中等教育分科会高校教育部会の委員でもある同氏が,どのように学校経営されているのかを聞きたくて,午前中出張(産業教育フェアの進路フォーラム)の後に年休をとり参加しました。
講演は,「グローバル社会を生き抜く人材育成」で,副題は,灘校が考える“子どもの伸ばし方”でした。
冒頭,「グローバル社会」の説明の部分では,日本においても英語を意識する必要であり,Speakingやlisteningも大切だが,英語でジャーナルを読んだり,プレンゼンテーションできることが大切という話から始まった。
グローバル人材の要件として,「異文化コミュニケーション力」をあげ,まっとうな中等教育を行うべきであると訴えていた。
・異文化を理解するには,自国文化への理解と尊敬が必要
・中等教育での教養が大切
・協同で課題解決に努力する力(自分にない個性から学ぶ)
灘校創設の顧問は嘉納治五郎であり,その教えである「精力善用」・「自他共栄」が灘高の校是になっており,自由な精神とともに現在に受け継がれているという。
「自由は山巓の空気に似ている。どちらも弱い者には耐えることができない」といわれていたのが印象的だった。
制服はなく,明文化された校則もなく,唯一の基準は「灘中生・灘校生らしく」ということらしい。
校歌の一節に,「校是に心の鏡を磨き」という一説があるそうだが,行動基準も勉強法も自ら考えることをモットーにしているという。
中等教育は人間の基礎づくりということで,「知」・「徳」・「体」のバランスが大切と訴え,親離れと子離れを勧めていたのが,印象的であった。
また,教員にも自由をという校風があり,「銀のさじ」の指導で有名な橋本先生は決して特別な先生ではないという。
「授業は真剣勝負」・「生徒の好奇心をくすぐる創意工夫」・「自主編成教材を作成する」など,先生と生徒の間も自他共栄だと指摘する。
また,中1から高3まで,学年団が持ち上がるので,横の絆・教員と生徒の絆が作られるという。このシステムは,教師も責任をもって指導するという意識を植え付けるのでとても良いという話だった。
大学進学の実績につい目が行きがちな灘校であるが,「大学合格が最終目標ではない」とはっきりと宣言していた。それは,「有名大学合格だけでは将来が約束されない」,「大学では受け身の姿勢では何も学べない」,「知識量が尊ばれるのは大学入試まで」だという意識からである。
そして,「自ら課題を探して解決する姿勢」,「自分の意見をしっかり伝える能力」,「専門教育に堪えうる教養を身につけよう」とまとめていた。
中等教育では基礎力と幅広い教養を身につけうことがとても大切であることを再確認できた。
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